ベーシストの多くが直面する悩みのひとつに、「メロディーを弾けない」という問題があります。指板上の音を追うだけでは、曲を理解するのは難しく、単純に覚えるだけでは応用がききません。
今回は、ジャズスタンダード **『酒と薔薇の日々(Days of Wine and Roses)』** を例に、効率的にメロディーを覚える方法を紹介します。
1. 曲を分析して構造を理解する
まず大事なのは、曲の全体像を把握することです。ベースを弾く前に以下のポイントを押さえましょう。
コードの度数で理解する
曲のコードは名前で覚えるのではなく、キーに対する度数で覚えると応用が効きやすくなります。
例:キーがFの場合、最初の FM7 は **I度M7**、Gm7 は **II度m7** のように考えます。実際に見てみるとこんな感じです。細かい説明はこの曲は話が長くなりすぎるので省きます。
スケールの把握
メロディーはスケールに沿って動いています。
移動ドで音を覚えると、キーが変わっても対応しやすくなります。
この曲のキーは F
スケールはイオニアンスケール(メジャースケール)です。
基本的に曲のメロディーはメジャースケールかマイナースケールのどちらかで考えた方がいいです。

2. メロディーを頭で鳴らす
実際に指を動かす前に、まず **頭の中や声でメロディーを鳴らすこと** が重要です。
ジャコ・パストリアスも、ソロを弾くときには頭の中でメロディーが鳴っていたと言われています。ベースはメロディーを弾けなくてもセッションには参加できますが、頭で鳴らす習慣があれば、指板上で迷うことなくメロディーを探せます。
* 歌える人は歌ってみる
* 声に出さなくても、頭でしっかり流す
* ベースでコードを弾きながら、同時にメロディーを歌う練習も効果的

3. パートごとに分けて弾く
曲全体を一度に覚えようとするよりも、**Aパート・Bパートなどパートごとに練習** した方が効率的です。
* 1日に全曲を練習するのではなく、1パートに集中
* 繰り返し弾くことで体と頭に定着
* 難しい部分は、さらに小さいフレーズに分けて反復
4. ベースでメロディーを弾く
メロディーを頭で鳴らせたら、指板で弾いてみましょう。ここで注意したいのは、
**指板上のポジションだけで覚えないこと**。
移動ドで音を覚える
「ドレミ」と音名を固定せず、キーに応じて変化させながら覚える方法です。これにより、転調しても対応できます。
この曲は キーF なので Fがド になります。
**メロディーにスケールに含まれてない音はその曲のキャラクター**
曲の中で印象的な音の動きやリズムパターンをメモしておくと、覚えやすくなります。
* **ピアノで確認する**
ベースだけでなくピアノでメロディーやコードを鳴らして確認すると、音の関係性や構造がより明確になり、理解が深まります。
5. 確認と練習方法
覚えたメロディーを定着させるために、次の方法でチェックしましょう。
**オクターブ上で弾いてみる**
これで頭の中の音と実際の指板上の音が一致しているか確認できます。
* **部分ごとに反復練習**
難しいフレーズは、分割して何度も繰り返すことが効果的です。
* **歌と合わせる**
指だけでなく、頭や声でメロディーを追いながら練習すると記憶が定着しやすくなります。
* **ベースでコードを弾きながら歌う**
これにより、ベースのコード感とメロディー感を同時に鍛えられます。
まとめ
* 曲の構造を理解する →キーと コード進行を度数で
* メロディーを頭で鳴らす → ジャコ・パストリアスも実践
* パートごとに練習 → Aパート・Bパートに分けて繰り返す
* ベースで弾く → 指板のポジションでなく、キーとスケールを意識
* 移調で確認 → 他のキーで弾いてみる
「酒と薔薇の日々」を使ったこの方法を実践すれば、ジャズでもポップスでも応用できる **ベースでのメロディー習得法** が身につきます。





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